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「朝、鏡を見たら突然、髪が丸く抜けていた」
「美容院で美容師さんに突然、指摘された」
そんな衝撃的な体験とともに語られることが多い「円形脱毛症」。
一般的には、「最近ストレスが溜まっているのではないか?」という周囲の心配や思い込みにさらされがちです。
しかし、その円形脱毛症のメカニズムは私たちが抱くイメージとは大きく異なります。
円形脱毛症は、年齢や性別を問わず誰にでも起こりうる、非常にダイナミックで繊細な身体の反応なのです。
この記事では、単なる「薄毛」や「AGA(男性型脱毛症)」との違いや、皮膚科専門医の視点から見たエビデンス(証拠)に基づいた「5つの意外な事実」を詳しく解説します。
数日で景色が変わる:AGAとは根本的に違う「進行スピード」
円形脱毛症の最大の特徴は、その圧倒的に速い「進行スピード」にあります。よく比較されるAGA(男性型脱毛症)、FAGA (女性の男性型脱毛症)などの一般的な薄毛は、数年という長い年月をかけてゆっくりとジワジワと毛髪が細くなっていく「老化」に近いプロセスです。
| 特徴 | 円形脱毛症 | AGA / FAGA |
|---|---|---|
| 進行スピード | わずか2〜3日(急速) | 数年単位(緩やか) |
| 境界線 | はっきりしている | 徐々に境界が曖昧になる |
AGAやFAGAに比べて円形脱毛症は、わずか2〜3日の間に急速に進行し、地肌が露出します。
円形脱毛症の現実は毛根に対する非常にアグレッシブな「攻撃」の結果なのです。
AGAが頭部全体で徐々に境界が曖昧に薄くなるのに対し、円形脱毛症は脱毛部分と周囲との境目がはっきりしており、まさに「数日で景色が変わる」ほどの衝撃を伴います。
円形脱毛症の原因はストレスではない?自分の毛根を攻撃してしまう免疫の誤作動
「円形脱毛症の原因はストレス一択」という説は広く知られていますが、現代医学において、ストレスはあくまで円形脱毛症の発症の「引き金」の一つに過ぎないと考えられています。
根本的な原因は、身体の防御システムである「免疫」の勘違い、あるいは「暴走」すなわち自己免疫疾患としての側面です。
つまり円形脱毛症は、免疫が誤って自分の「毛母細胞」を攻撃してしまうことが原因と考えられています。
このように、精神的な疲れ、ストレスというよりも、身体のシステムの「エラー」によって引き起こされるのが円形脱毛症の本質なのです。
ただ、皮膚科専門医である私、花房崇明も新型コロナウイルス感染症が蔓延し、クリニックの経営がピンチで眠れなかった2020年に後頭部に円形脱毛症を発症したので、やはり発症の原因にストレスも関与しているのは間違いないと考えます。
老若男女を問わない:子供から大人まで、誰にでも訪れる可能性
「頭皮の脱毛=大人の男性の悩み」というステレオタイプ、偏った考え方は、円形脱毛症には通用しません。AGAが主に成人男性に見られるのに対し、円形脱毛症は性別や年齢に関係なく発症します。
特に驚くべき点は、子供の患者さんも少なくないという点です。
これは、円形脱毛症がアトピー性疾患(アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎など)と深い関連があるためです。アレルギー体質、つまり免疫系が過敏に、敏感に反応しやすい素因を持っている場合、子供であっても円形脱毛症の発症のリスクが高まります。
円形脱毛症は単なる「皮膚のトラブル」ではなく、その人の持つ「免疫の特性」を映し出す鏡のような側面を持っているのです。
サインは髪以外にも:爪のデコボコと全身に広がる可能性
円形脱毛症の症状は、必ずしも頭部の一部(単発型)だけに留まるとは限りません。免疫の暴走範囲によって、以下のように分類されます。
- ✔ 単発型・多発型(Alopecia Areata): 1つ、あるいは複数の脱毛斑ができる。
- ✔ 全頭型(Alopecia Totalis): 頭部全体の髪が抜け落ちる。
- ✔ 蛇行型(Ophiasis pattern alopecia): 後頭部から側頭部の生え際にかけて帯状に抜ける。
- ✔ 汎発(ばんぱつ)型(Alopecia Universalis): まゆ毛、まつ毛、脇毛、陰毛、すね毛など全身に及ぶ。

また、意外なチェックポイントとして「爪」の変形が挙げられます。円形脱毛症の患者さんの爪には、小さな針で突いたような凹み、デコボコが見られることがあり、これも免疫系の異常を示す重要な診断の手がかりとなります。
拡大鏡が捉える真実:毛根に見られる「!マーク」の正体
皮膚科専門医は、ダーモスコピー(拡大鏡)を用いて脱毛斑の境界部を詳細に分析します。そこで見つかる決定的なサインが「ビックリマーク(感嘆符毛:かんたんふもう)」です。
これは、免疫の攻撃を受けた毛根が急激に萎縮し、抜けた毛の根元が針のように細く尖っている状態を指します。その形が記号の「!」に似ていることからそう呼ばれます。さらに、毛穴に詰まった「切れ毛」「ブラックドッツ(黒い点々)」も、進行期に見られる特徴的な所見です。
また、診断の際には「プルテスト( Pull test)」が行われることもあります。脱毛斑の周囲の毛を優しく引っ張った際、痛みをほとんど伴わずにスッと抜ける場合、それは現在進行形で免疫の攻撃が続いていて、「病状がまだ進行している」証拠です。
Q&A(よくある質問)
Q1. 円形脱毛症の原因は何ですか?ストレスが原因ですか?
本来は外敵を守るリンパ球などの免疫細胞が暴走してしまい、自分の毛根を誤って攻撃してしまうことで発症します。
「円形脱毛症=ストレスが原因」とよく言われますが、ストレスはあくまで“引き金”の一つです。
体質(アトピー性皮膚炎などのアレルギー体質など)や免疫バランスの乱れが関与していることが分かっています。
Q2. 円形脱毛症は自然に治ることはありますか?放置しても大丈夫?
特に単発型の場合、数か月〜1年以内に自然回復することがあります。
しかし、脱毛範囲が広がることや多発すること、全頭型に進行するといったケースもあるため、自己判断での放置はおすすめできません。
早期に皮膚科専門医へ相談し治療を開始することで、進行を抑えられる可能性があります。
Q3. 円形脱毛症とAGA(男性型脱毛症)の違いは何ですか?
- 数日〜数週間で急に抜ける
- 境目がはっきりしている
- 地肌がツルっと露出する
AGAとは進行スピードと原因がまったく異なる疾患です。
Q4. 子どもでも円形脱毛症になりますか?
特にアトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー体質があるお子さんは発症リスクが高いとされています。
「大人の薄毛」とは異なり、年齢や性別を問わず発症するのが円形脱毛症の特徴です。
Q5. 円形脱毛症の治療方法にはどのようなものがありますか?
主な治療法は:
- ステロイド外用薬
- ステロイド局所注射
- 紫外線療法(光線療法)
- ステロイド内服治療(重症例)
- オルミエントやリットフーロなどのJAK阻害剤内服治療(重症例)
- ステロイド点滴(入院)
Q6. 円形脱毛症は再発しますか?
自己免疫疾患の性質上、疲労や感冒などのウイルス感染症後や強いストレスなどをきっかけに再燃することがあります。
まとめ:早めの皮膚科専門医のクリニックへの受診が鍵
円形脱毛症の多くは、適切な治療を行うことで再び健康な髪が生えてくる可能性が高い病気です。しかし、放置することで脱毛範囲が広がったり、再発を繰り返したりするリスクもあります。自己判断で「様子見」「経過観察」をするのではなく、早期に皮膚科専門医へ相談することが最善の策です。
受診時のおすすめ:
- ● 「おくすり手帳」を持参する: 他の病気やアレルギーとの関連を確認するため、現在服用している薬を医師に伝えてください。
- ● 紫外線機器のあるクリニックを選ぶ: 治療の選択肢として、ステロイド外用薬や局所注射のほかに、光線療法(紫外線機器)を備えたクリニックを選ぶと、より幅広いアプローチが可能になります。
大阪の花ふさ皮ふ科グループ(千里中央花ふさ皮ふ科・江坂駅前花ふさ皮ふ科・みのお花ふさ皮ふ科)では円形脱毛症に対して局所紫外線療法を行っています。 - ● 経過と生活の影響を整理する: いつから抜け始めたか、日常生活でどの程度不安を感じているかを医師に伝えてください。
花ふさ皮ふ科グループの一般皮膚科の予約は下記から
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円形脱毛症についての花ふさ皮ふ科グループ関連ページ
大阪・豊中で円形脱毛症の治療は千里中央花ふさ皮ふ科
大阪・吹田で円形脱毛症の治療は江坂駅前花ふさ皮ふ科
https://esaka-hanafusa-hifuka.com/dermatology/lentigo/
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