粉瘤は皮膚の下に形成される良性の腫瘍で、一般的には皮膚の表面に見られる小さなできものとして現れます。この記事では、粉瘤の原因、症状、治療法、そして予防策について詳しく説明します。
粉瘤とは何か
粉瘤は皮膚の下に形成される小さな囊状(ふくろ状)の腫瘍で、角質や皮脂といった成分が内部に蓄積します。粉瘤は体のどこにでも現れる可能性がありますが、特に顔、首、体に多く見られます。粉瘤は「アテローマ」または「アテローム」とも呼ばれます。
粉瘤の原因
粉瘤の正確な原因はまだ明らかにされていませんが、遺伝的素因との関連が指摘されています。また、皮膚にニキビや傷がある人、男性は粉瘤を発症する可能性が2倍高いとされています。
乾燥や遺伝的な素因で皮膚のバリア機能が低下していると、外部からの刺激を受けやすい状態になります。ここに、アレルゲン(ダニやハウスダスト、食物など)や汗、細菌、ウイルスなどが容易に侵入し皮膚の炎症を起こします。
近年、フィラグリン遺伝子の異常がアトピー性皮膚炎に関係していることがわかりました。
フィラグリンは皮膚の一番外側の角質細胞がつくるタンパク質で、皮膚のバリアを強くする働きや潤いを保つ働きを持っています。このフィラグリンの遺伝子に変異があると、フィラグリンが減り皮膚のバリア機能が弱くなってしまいます。
粉瘤の症状
粉瘤の主な症状は、皮膚の表面に小さな丸い突起が現れることです。これらの突起は中央に黒ずんだ開口部を持つことがあり、時々厚い黄色い臭い物質が出てくることがあります。粉瘤が感染すると、赤くて痛みを伴うことがあります。
粉瘤の治療
粉瘤は皮膚の下に、袋状に皮脂や垢(ケラチン)などがたまっていく病気です。そのため、外科的な手法で袋を除去しないと再発する恐れがあります。当院では、大きさ・炎症の有無によって最も傷跡が少なくなる手術を実施しています。
手術
粉瘤などはこの術式で治療を行います。 術後の患部が凸凹(犬の耳に例えてドッグイヤーと言います)にならないように、腫瘍の大きさより少し大きく紡錘形(ラグビーボール状)に、皮膚に切れ込みを入れて切除し、縫合致します。約1週間後の抜糸が必要です。
感染性粉瘤の場合
皮膚の開口部から細菌が入り感染したり、粉瘤部位に圧力がかかる等してふくろが破れたりして、炎症が起きることがあります。
軽症の場合、抗生物質を内服してコントロールできますが、症状が進行していると切開して、中味(垢と膿)を圧出する必要があります。
この皮膚切開術は根治術ではないので、炎症が落ち着いて1,2ヶ月してから摘出術が必要になります。
治療までの流れ
治療までの流れは手術ページをご参照下さい。
粉瘤の予防
粉瘤を予防する具体的な方法はまだ確立されていませんが、皮膚を清潔に保つこと、皮膚に傷をつけないことが一般的に推奨されています。また、粉瘤を自分で潰したり、刺したりすることは避けるべきです。
粉瘤と他の皮膚病との違い
粉瘤はしばしば脂肪腫と混同されますが、これらは異なる皮膚病疾患です。脂肪腫は皮下の脂肪細胞が増殖して形成される良性の腫瘍です。粉瘤との主な違いは、粉瘤が皮膚の下に囊状の構造を形成する点です。
まとめ
粉瘤は皮膚の下に形成される良性の腫瘍で、角質、皮脂が内部に蓄積します。粉瘤が疑われる場合や、粉瘤に関して更に知りたい場合は、皮膚科専門医・形成外科専門医に相談してください。