花房崇明のブログ
口周りのニキビができる原因、治療法を解説!

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監修者 理事長:花房崇明 (はなふさ たかあき) [ 資 格 ] ・医学博士(大阪大学大学院) ・日本皮膚科学会皮膚科専門医 ・日本アレルギー学会アレルギー専門医 ・日本抗加齢医学会専門医 ・難病指定医 |
[ 所属学会 ] ・日本皮膚科学会 ・日本アレルギー学会 ・日本小児皮膚科学会 ・日本抗加齢医学会 ・日本美容皮膚科学会 |
ニキビは、顔や背中、胸など皮脂の分泌が多い部位にできやすいもので、
皮脂や古い角質がたまり、毛穴が詰まることで白ニキビ(面疱)、
毛穴の中でアクネ菌が増えることで垢ニキビ(炎症性ざ瘡)ができます。
皮脂の分泌量が増加する思春期頃からでき始めることが多いです。
1.口周りのニキビの原因とは?
口周りのニキビは、大人になってからできやすい傾向にあります。
一般的には、ホルモンバランスの乱れや、寝不足、ストレス、生活習慣の乱れが原因になることがあると言われています。
また、コロナ禍でマスクを着用することが日常的となった時は、口周りのニキビに悩む患者さんが増えました。
マスクによる摩擦や、マスクをすることで皮膚の熱や湿度がこもり、皮脂分泌が増加したり、
皮膚表面の細菌(常在細菌叢(さいきんそう))のバランスが崩れることが要因と言われています。
1. ホルモンバランスの影響
女性は月経周期に伴いホルモンバランスが変化し、特に黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が増加すると皮脂の分泌が活発になり、
毛穴の詰まりや炎症を引き起こしやすくなります。特に生理前にニキビが増えやすいのは黄体ホルモンの影響です。
2. ストレスとホルモンの関係
ストレスを受けると、副腎からコルチゾールというホルモンが分泌され、これが皮脂の分泌を促進します。
仕事や家庭、ホルモン変動による精神的ストレスが原因で、口周りのニキビが悪化することがあります。
3. 口周りは皮脂腺が多い
顔の中でも口周りは皮脂腺が多く、手で触れやすい部位のため、皮脂や汚れが溜まりやすいです。
さらに、唇をなめる癖や食べ物の影響で刺激を受けやすい部位でもあります。
4. 食生活の影響
糖分や脂質が多い食事(チョコレート、揚げ物、乳製品など)は皮脂の分泌を増やし、ニキビの原因になります。
特に女性は甘いものを好む傾向があるため、口周りのニキビが発生しやすい可能性があります。
5. 化粧品やスキンケアの影響
女性は日常的にファンデーションやリップ製品を使用するため、毛穴が詰まりやすくなります。
また、洗顔不足やクレンジングの残りがニキビの原因になることもあります。
6. 体の冷えや血行不良
冷え性の女性が多く、血行が悪くなると皮膚のターンオーバーが乱れ、古い角質や皮脂が蓄積しやすくなります。
特に下半身が冷えやすい女性は、皮脂分泌が相対的に増える上半身(特に口周り)にニキビが出やすくなります。
7. マスクや摩擦の影響
最近ではマスクの使用が増えたことで、口周りの蒸れや摩擦が原因でニキビができやすくなっています。
2.口周りのニキビの治療法は?
◾️まずは保険治療からはじめます。
具体的には、
①炎症を起こしている赤ニキビに対する抗菌薬の塗り薬、飲み薬
②毛穴の詰まりである白ニキビや、ニキビ予備軍であるコメドを治療する、ピーリング作用のある塗り薬(ディフェリンゲル(アダパレン)、ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)、ベピオローション(過酸化ベンゾイル)、エピデュオゲル(アダパレンと過酸化ベンゾイルの合剤)、デュアックゲル(過酸化ベンゾイルとクリンダマイシンの合剤)が発売されています)
を組み合わせて治療します。
②の治療は使い始めに乾燥による刺激症状が出ることが多いので、しっかりと保湿した後に使用する、
いきなり広範囲に塗り広げるのではなく、少しずつ塗る面積を広げて塗っていく、ということが大事です。
当院の外来を受診され、初めてピーリング作用のある塗り薬を使用する場合には、
スタッフが動画を見ながら個別に塗り方を指導させていただいています。
にきびの治療は、始めてすぐニキビがなくなったり、出来なくなったりするものではありません。
まずは数か月間しっかりと薬を使用し、その後も使用し続けることが大事です。
◾️症状が口周りだけでなく、顔全体に及んでいる場合や、皮膚の下に膿がたまった袋ができたり(嚢腫(のうしゅ))、
硬く大きく触れる状態(結節(けっせつ))になっている場合など、
重症のニキビの場合はイソトレチノインという飲み薬(自費治療)を用いて治療することもあります。
◾️女性の場合は、月経周期に連動して口周りのニキビが悪化することも多く、
その場合は低用量ピルやスピロノラクトンという抗男性ホルモン作用のあるお薬の内服が効果的な場合もあります。
◾️上記のような飲み薬を持病等で使用できない方、刺激やかぶれで保険治療薬の塗り薬を使用できない方には、
ニキビの原因である皮脂腺を直接破壊するアビクリアというレーザー治療も千里中央院の方で行っています。
3.口周りのニキビの予防法は?
マスクを日常的に使用されている方は、同じマスクを1日中つけっぱなしにしない、
休憩時間などマスクを外せる場面では、こまめにマスクを外して皮膚の蒸れを解消するといったことが効果的です。
また、ホルモンバランスを整えるために、十分な睡眠をとる、胃腸に優しい食事を心掛けるといったことも大切です。
スキンケアの点では乾燥しないようノンコメドジェニックテスト済みの
(ニキビの初期段階である毛穴のつまり=コメドができにくいことが確認された)化粧品を使って保湿することが大切です。
最後に、口周りのニキビは炎症した赤ニキビに進展しやすく、そうなるとニキビ痕も残りやすくなってしまいます。
ニキビ痕が残る前に早めに治療することが肝心です。
ニキビができたら早めに皮膚科を受診し、お薬で治療しましょう!
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